高齢者の歩行中の交通事故
高齢者の交通事故が減りません。
下のグラフをご覧ください。
(グラフをクリックすると拡大します。)
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(警察庁「平成27年中の交通事故死者数について」より) |
平成17~27年の高齢者(65歳以上)死亡者数の推移のグラフなのですが、全年齢死亡者数は、6,937人から4,117人になり約40%減少しているのですが、高齢者(65歳以上)死亡者数は、2,995人から2,247人となっており約25%の減少ですから、全年齢死亡者数の減少割合より低くなっています。
そして、平成23年以降は、ほぼ横這いの状況です。
次のグラフは、高齢者の状態別交通事故死亡者数の推移のグラフです。
(グラフをクリックすると拡大します。)
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(内閣府「平成27年版交通安全白書」より) |
歩行中の交通事故死亡者数の割合が48.5%、そして、自動車運転中27.4%、自転車運転中15.7%の順になっています。
半数近くが、歩行中の事故なんですね。
さて、今日なぜ唐突に このようなことを書き出したかというと、高齢者の歩行中の交通事故の中に、認知症を患われた方の徘徊中の事故が、どれくらいあるのだろうと思ったからです。
昨日も書いた、「認知症男性が徘徊中に列車にはねられて死亡した事故」の事例を見ていると、全くないとは思えません。
それで、そのような統計がないか調べてみたのですが、私が探した範囲では見つかりませんでした。
(もし、ご存知の方が いらっしゃいましたら教えてください。)
65歳以上の高齢者の認知症発症割合から推定すると、歩行中(徘徊中)に交通事故で亡くなっている方が、年間に100~200人くらいいらっしゃっるような気がします。
仮に、そうした事故に何らかの共通点が見つかり、何らかの対策をすることが出来れば、高齢者の交通事故を減らすことが出来るような気がするのですが…
甘いですかね…
ところで、昨日「認知症男性が徘徊中に列車にはねられて死亡した事故」の最高裁判決が出てから、昨日までにあったことを 2つほど紹介しましたが、今日、新たに一つ確認できましたので、紹介させていただきます。
「日本認知症グループホーム協会」から最高裁判決に対する見解が3月4日付で出されています。
認知症の人の列車事故に関する最高裁判決に対する見解 |
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今回の最高裁の判決如何によっては、安全確保やリスク回避を理由に、外に出ないように鍵をかけたり、身体拘束をしたり、行動が制限されるなど、認知症の人の尊厳が損なわれ、BPSD(行動・心理症状)がさらに悪化することを大変危惧していました。今回の最高裁判決は、認知症の人の尊厳のある生活を守る、妥当な判決であると考えます。 |
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認知症の人の事故は、認知症の人を介護する者だけの問題ではなく、社会全体の問題としてとらえることが必要であり、認知症の人の事故に対する社会的な補償制度を早急に構築することが必要と考えます。 今回の判決では、監督義務を免れましたが、同居の有無、財産管理、認知症状の如何によっては判決が変わってくることが考えられ、さらなる法的整備が必要であると考えます。 |
(日本認知症グループホーム協会「認知症の人の列車事故に関する最高裁判決に対する見解」より) |
詳細をご覧になりたい方は、下のリンクから ご覧ください。
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