老人ホームと事業継続
今日(5月4日)付で、毎日新聞のサイトに次の記事が掲載されました。
先月の熊本の地震で被災した熊本県内四市町村にある特別養護老人ホームなどで、損傷の酷かった施設や避難勧告区域内に入った施設の入居者が、他の施設へ移ったことを伝える記事です。
人生の最終盤において、「終の棲家」となるべきであった処を移らざるを得ないということ、本当に お辛いと思います。
ただ、今回の地震が「想定外の地震(東日本大震災の時も同様のことが言われましたが…)」であったことを考えると、止むを得ない面はあるのかもしれません。
というのも、特別養護老人ホームなどの介護事業所の中には、災害などの発生時に避難所として、地域の要介護者を受け入れる施設があるからです。
つまり、自らの施設が酷い損傷を受け、事業の継続が困難になることを想定していない可能性が高いということです。
特別養護老人ホームなどの介護事業所では、地震や洪水などの自然災害、火災などに備えて、BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)というものを策定しています。
※ただ、地方自治体のサイトを見ていると、介護事業所にBCPの策定を促すコンテンツが見受けられるので、未だに策定していないところがあるのかもしれません。
しかし、BCPは事業を継続させることを前提に作るもので、事業の継続が困難になるような場合には必ずしも対応していないといえます。
これからは、事業の継続が不可能になった場合や、事業の大幅な縮小をしなければ いけなくなった時の計画が必要になってきた、ということなのでしょう。
記事には専門家のコメントとして、「高齢になるほど環境変化による心身への負担が大きいとして、施設が被災した際の受け入れ先を普段から確保しておく必要がある(毎日新聞:「高齢者11施設住めず 390人が転出」より)」というものが出ていました。
このコメントにあることは、まさしく事業の継続が不可能になった場合や、事業の大幅な縮小をしなければ いけなくなった時のことを指しています。
無計画に高齢者を移動させることは「酷」なことです。
次に同規模の地震などが あった場合は、「止むを得ない」では済まされません。
早急に計画を策定することが望まれます。
そして、施設に入居する側も、施設を選ぶ際にはBCPの策定がなされているかを確認するのは もちろんのこと、その施設の継続が不可能になった場合や、事業の大幅な縮小をしなければ いけなくなった時のことについても、確認しておくべきなのかもしれません。
過去の記事より
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