平成29年3月27日公表 特別養護老人ホーム入所申込者数
昨日(3月27日)の朝日新聞デジタルに、次の記事が掲載されました。
(朝日新聞デジタル)
3月27日に厚生労働省から公表された、「特別養護老人ホーム入所申込者の状況」について伝える記事です。
記事のタイトルにある通り、入居申込者数は36万6千人で、前回、平成26年3月に公表された時の入居申込者数 52万4千人から 15万8千人減少しています。
原因として考えられることの一つとして、記事のタイトルにある通り、平成27年4月に導入された、「特別養護老人ホームの重点化」があります。
「特別養護老人ホームの重点化」とは、平成27年4月以降、原則として要介護3以上の人しか新たに特別養護老人ホーム入所できない制度のこと…
「原則として」ですから、例外もあります。
要介護1や2の人でも、居宅で生活することが困難な場合は、特例入所として、特別養護老人ホームに入所することができます。
平成26年3月に公表されたデータと、今回公表されたデータを比較してみたいと思います。
下の表が比較したデータです。
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【注】特例入所対象者の数(推計値) 調査時点で地方自治体によっては、特例入所対象者の数を把握できていない場合があり、平成29年3月公表のデータの要介護1又は2は必ずしも正確な数字になっていない。 |
厚生労働省: 「特別養護老人ホームの入所申込者の状況(平成26年3月公表分及び平成29年3月公表分)」より作成 |
まず、朝日新聞デジタルの記事のタイトルにある 36.6万人は、要介護3~5の人の合計295,237人に、要介護2以下の特例入所対象者の推計値を加えたものです。
そして、要介護5の人が78.4%に減少、要介護4の人が85.1%に減少%、要介護3の人が91.3%に減少しています。
つまり、要介護度の重い人ほど、特別養護老人ホームの「入居待ち」の人が少なくなっているということですね。
特別養護老人ホームの数が増えたから少なくなっているのか、特別養護老人ホームへの入居を諦めて他の施設に入居したのか、要介護度の重い人でも在宅を希望する人が増えたのかは分かりません。
その辺りを分析したデータがあるのなら、見てみたいですね。
要介護2以下の人が39.8%に減少していますが、「要介護1又は2は必ずしも正確な数字となっていない」ということなので、一概には言えませんが、「特別養護老人ホームの重点化」の影響が出ていると考えて良いでしょう。
ただ、昨年の介護保険の改正の議論の際いに出てきた、軽度要介護者(要介護1・2)の人の生活援助サービスを介護保険の保険給付の対象からはずす、という話が再度出てきた場合は、特例入所対象者が増える可能性があります。
そうなると、「特別養護老人ホームの重点化」の効果が小さくなる可能性も出てきます。
(そのことが、良いかどうかは別として…)
このデータを見る限り、今のところ厚生労働省の思惑に沿った方向に推移しているように感じます。
ただ、先ほどの生活援助サービスの件や、特別養護老人ホームの地域ごとのバランス等、まだまだ課題は沢山あるように思います。
いずれにせよ、現政権の目指す、「介護離職ゼロ」を達成する上において、特別養護老人ホームの果たす役割は大きいといえます。
今後も動向を注視していきたいと思います。
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