平成29年度介護事業経営実態調査
現在、財務省や厚生労働省では来年度の介護報酬の改定に向けて議論が続けられています。
そんな中、一昨日(10月27日)、厚生労働省から「平成29年度介護事業経営実態調査結果」が公表されました。
この「介護事業経営実態調査」は、介護報酬を決める上で、とても重要な調査です。
前回の介護報酬の改定がマイナスになったのは、この「介護事業経営実態調査」の結果が大きく影響していました。
厚労省が今年3月の介護事業所の経営状況を調べたところ、特養の利益率は8.7%。通所介護(デイサービス)は10.6%だった。財務省は、他産業よりも利益率が高い上、特養に関しては計約2兆円の内部留保があると問題視している。 |
(中日メディカルサイト つなごう医療:「介護報酬引き下げへ」より) |
また、10月18日の投稿「介護の現場を守るための署名②」でも取り上げましたが…
3年前に、全老健と日本認知症グループホーム協会で142万筆の署名を集めて、麻生太郎財務相に持って行ったところ、介護の団体が一致団結しないと意味がない、私たちは動かないと言われた |
(医療介護CBnews:介護報酬プラス改定目指し署名開始へ 財政審をけん制より) |
ということも あったようです。
結局、「他の産業より利益率が高い」ということと、「介護の団体が一致団結していない」という理由で、前回は介護報酬を引き下げられたようです。
「収支差率」を前回の調査結果と比較した表を作ってみました。
(表をクリックすると拡大します。)
「※」のあるサービスについては、集計施設・事業所数が少なく、集計結果に個々のデータが大きく影響していると考えられるため、参考数値として公表している。 |
(厚生労働省:「介護事業経営実態調査 平成26年調査分・平成29年調査分」より作成) |
前回の介護報酬引き下げの影響を受けて、多くの事業体で「収支差率」を悪化させていますね。
「医療介護CBnews」に次の記事によれば…
18年度介護報酬のプラス改定を求める理由の一つには、法人企業統計の全産業の収支差率が14年度の4.0%から、15年度には4.2%に上昇した一方、介護事業経営概況調査の収支差率で、介護老人保健施設が14年度の3.9%から15年度の3.2%、グループホームが14年度の6.2%から15年度の3.8%とそれぞれ低下するなど、介護サービスの収益環境が悪化していることを挙げている。 |
(医療介護CBnews:介護報酬プラス改定目指し署名開始へ 財政審をけん制より) |
とのことです。
仮に記事に書かれている通りであれば、介護事業の収支差率が、他の産業を下回っているわけですから、今回は介護報酬を引き上げないといけないですよね。
また、前回の介護報酬引き下げの理由になった、「介護の団体が一致団結していない」という理由に関しても、10月18日の投稿「介護の現場を守るための署名②」でも取り上げた通り、介護関連の団体などが一つになって全国規模で署名活動を しているわけですから、こちらも引き下げの理由は解消されています。
ただ、財務省は今回も介護報酬の引き下げを考えているようですね。
こちらの記事によれば、財務省は介護事業所が「規模の小さな法人が多くを占めていることから、中小企業の利益率と比べて多寡を判断するのが妥当」であり、他の中小企業と比較すると「介護サービス全体をみてもおおむね良好な状況にある」と説明しているとのことです。
仮に記事に書かれている財務省の説明が妥当であるとして…
介護事業所の倒産が増えているのは、なぜなんでしょう?
職業として介護に従事している人達の賃金が上がらないのは、なぜなんでしょう?
大いに疑問を感じてしまいます。
過去の記事より
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