2015年10月 3日 (土)

介護保険のことば(28)介護老人保健施設

介護保険の用語などの簡単な説明、今日は「介護老人保健施設」についてです。

「介護老人保健施設」については、「介護保険法」第8条第27項で、次のように規定しています。

第8条

27 この法律において「介護老人保健施設」とは、要介護者(その治療の必要の程度につき厚生労働省令で定めるものに限る。以下この項において同じ。)に対し、施設サービス計画に基づいて、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設として、第94条第1項の都道府県知事の許可を受けたものをいい、「介護保健施設サービス」とは、介護老人保健施設に入所する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて行われる看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話をいう。

この条文では、前半で「介護老人保健施設」について、後半で「介護保健施設サービス」について規定しています。

まず「介護老人保健施設」から…

「『介護老人保健施設』とは、要介護者(その治療の必要の程度につき厚生労働省令で定めるものに限る。以下この項において同じ。)に対し、施設サービス計画に基づいて、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設として、第94条第1項の都道府県知事の許可を受けたものをいい」となっています。

最初の要介護者のところにカッコ書きがあり、「その治療の必要の程度につき厚生労働省令で定めるものに限る。」となっていますので、該当の厚生労働省令を確認してみます。

この厚生労働省令は、「介護保険法施行規則」第20条のことで、次のように規定しています。

(法第8条第27項の厚生労働省令で定める要介護者)
第20条 法第8条第27項の厚生労働省令で定める要介護者は、病状が安定期にあり、介護老人保健施設において、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療を要する要介護者とする。

この規定を整理すると

厚生労働省令で定める要介護者は
病状が安定期にあり
(介護老人保健施設において)看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療を要する要介護者

となります。

つまり、「病状が安定期にあり」、「看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療」が必要な要介護者ということ

「病状が安定期にあり」は、特に問題ないと思います。

「看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療」についてですが、介護保険法の条文の「介護老人保健施設」の規定をしている箇所の後半が、「施設サービス計画に基づいて、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設」となっており、「看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療」と同じ表現を使っている部分があります。

つまり、「看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療」とは、「介護老人保健施設」で提供されるサービスの一部ということになります。

したがって、「介護保険法施行規則」第20条は、「病状が安定期にあり、介護老人保健施設で提供される介護サービスが必要な要介護者」と解釈すればよろしいかと…

では、条文の次の部分に移りましょう。

「施設サービス計画に基づいて、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設」という部分です。

これは「施設サービス計画(ケアプラン)」に基づいて、看護、医学的管理の下における介護など必要な介護サービスが提供される施設」と解釈しておきます。

次の「第94条第1項の都道府県知事の許可を受けたものをいい」ですが、介護保険法第94条第1項で規定している内容は「開設許可」です。
(今回は詳細の説明はしません。お許し下さい。)

これまでの内容をまとめると…

「介護老人保健施設」とは

病状が安定期にあり、介護老人保健施設で提供される介護サービスが必要な要介護者に対して
施設サービス計画(ケアプラン)に基づいて
看護、医学的管理の下における介護など必要な介護サービスが提供される施設で
都道府県知事の開設許可を受けたもの

となります。

次に「介護保健施設サービス」ですが…

「『介護保健施設サービス』とは、介護老人保健施設に入所する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて行われる看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話をいう。」となっていますので、これも整理すると…

「介護保健施設サービス」とは

介護老人保健施設に入所する要介護者に
施設サービス計画(ケアプラン)に基づいて行われる
看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話

となります。

「介護保健施設サービス」と「介護福祉施設サービス」の違いですが、「介護保健施設サービス」は「看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話」となっており、「介護福祉施設サービス」は「介護その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話」となっています。
つまり「介護保健施設サービス」は、「介護福祉施設サービス」に比べ医療の色彩が強い施設サービスといえます。

過去の記事より

介護保険のことば(27)介護老人福祉施設


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2015年9月30日 (水)

介護保険のことば(27)介護老人福祉施設

介護保険の用語などの簡単な説明、今日は「介護老人福祉施設」についてです。

「介護老人福祉施設」については、「介護保険法」第8条第26項で、次のように規定しています。

第8条

26 この法律において「介護老人福祉施設」とは、老人福祉法第20条の5に規定する特別養護老人ホーム(入所定員が30人以上であるものに限る。以下この項において同じ。)であって、当該特別養護老人ホームに入所する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話を行うことを目的とする施設をいい、「介護福祉施設サービス」とは、介護老人福祉施設に入所する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて行われる入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話をいう。

この条文では、前半で「介護老人福祉施設」について、後半で「介護福祉施設サービス」について規定しています。

まず「介護老人福祉施設」から…

「『介護老人福祉施設』とは、老人福祉法第20条の5に規定する特別養護老人ホーム(入所定員が30人以上であるものに限る。以下この項において同じ。)であって、当該特別養護老人ホームに入所する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話を行うことを目的とする施設をいい」となっていますので、これを整理すると…

「介護老人福祉施設」とは

入所定員が30人以上の特別養護老人ホームで
そこに入所する要介護者に対して
施設サービス計画(ケアプラン)に基づいて
介護その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話を行うことを目的とする施設

となります。

整理した内容で特に問題ないと思いますが、2点補足しておきたいと思います。

1つ目が、入所定員が30人以上になっていることです。
入所定員が30人未満の特別養護老人ホームは、「地域密着型介護老人福祉施設」になります。

2つ目ですが、「地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護」で出てきた「特別養護老人ホームの重点化」は、当然「介護老人福祉施設」も対象になります。
したがって、「介護老人福祉施設」に入所できるのは、原則として要介護3から5の方、例外として要介護1から2で自宅で生活することが困難な方です。

次に「介護福祉施設サービス」ですが…

「『介護福祉施設サービス』とは、介護老人福祉施設に入所する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて行われる入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話をいう。」となっていますので、これも整理すると…

「介護福祉施設サービス」とは

介護老人福祉施設に入所する要介護者に
施設サービス計画(ケアプラン)に基づいて行われる
介護その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話

となります。

こちらは特に補足することはありません。

過去の記事より

介護保険のことば(26)介護保険施設・施設サービス


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2015年9月28日 (月)

介護保険のことば(26)介護保険施設・施設サービス

介護保険の用語などの簡単な説明、今日は「介護保険施設」と「施設サービス」についてです。

まず「介護保険施設」については、「介護保険法」第8条第24項で、次のように規定しています。

第8条

24 この法律において「介護保険施設」とは、第48条第1項第1号に規定する指定介護老人福祉施設及び介護老人保健施設をいう。

指定介護老人福祉施設と介護老人保健施設が「介護保険施設」…

でも、指定介護老人福祉施設の頭についている「指定」って何?

その様な疑問を持たれるのも当然のことかと…

ただし、今回は この「指定」という言葉の意味を説明しません。
居宅介護支援」で出てきた「指定居宅サービス等」の「指定」と一緒に、改めて別の機会に説明させていただきますので、今回は次のような解釈をしておきたいと思います。

介護保険の対象になる介護老人福祉施設は、しかるべきところから「指定」を受けている。

したがって「介護保険施設」とは、しかるべきところから「指定」を受けた「介護老人福祉施設」と「介護老人保健施設」の2種類の施設ということになります。

次に「施設サービス」についてですが、「介護保険法」第8条第25項で、次のように規定しています。

第8条

25 この法律において「施設サービス」とは、介護福祉施設サービス及び介護保健施設サービスをいい、「施設サービス計画」とは、介護老人福祉施設又は介護老人保健施設に入所している要介護者について、これらの施設が提供するサービスの内容、これを担当する者その他厚生労働省令で定める事項を定めた計画をいう。

介護福祉施設サービスと介護保健施設サービスが、「介護保険法」で「施設サービス」と呼ばれていることは特に問題ないと思います。
施設に入所している人のためのサービス計画が「施設サービス計画」…

この「施設サービス計画」が、介護老人福祉施設や介護老人保健施設に入所している方の「ケアプラン」なのですが、少しだけ確認しておいたほうが良さそうですね。

条文では、「介護老人福祉施設又は介護老人保健施設に入所している要介護者について、これらの施設が提供するサービスの内容、これを担当する者その他厚生労働省令で定める事項を定めた計画」となっていて、「その他厚生労働省令で定める事項を定めた計画」とありますので、該当の厚生労働省令を確認します。

この厚生労働省令は、「介護保険法施行規則」第19条のことで、次のように規定しています。

(法第8条第25項の厚生労働省令で定める事項)
第19条 法第8条第25項の厚生労働省令で定める事項は、当該要介護者及びその家族の生活に対する意向、当該要介護者の総合的な援助の方針並びに健康上及び生活上の問題点及び解決すべき課題並びに提供する施設サービスの目標及びその達成時期並びに施設サービスを提供する上での留意事項とする。

居宅要介護者のケアプランの内容を確認した時と同じ様に、条文にあった内容と省令の内容を整理し、施設入居者のケアプランの内容をまとめると…

施設が提供するサービスの内容、担当者
要介護者とその家族の生活に対する意向
援助の方針、健康上・生活上の問題点、解決すべき課題
目標及びその達成時期
サービス等を提供する上での留意事項

となります。

最後に居宅要介護者のケアプランの内容と比較してみましょう。

居宅要介護者施設入居要介護者
居宅要介護者とその家族の生活に対する意向 要介護者とその家族の生活に対する意向
利用するサービス等の種類、内容、担当者 施設が提供するサービスの内容、担当者
援助の方針、健康上・生活上の問題点、解決すべき課題 援助の方針、健康上・生活上の問題点、解決すべき課題
目標及びその達成時期 目標及びその達成時期
日常生活を営むために必要な保健医療サービス、福祉サービス -
サービス等が提供される日時 -
サービス等を提供する上での留意事項 サービス等を提供する上での留意事項
サービス等の費用の額 -

居宅要介護者にあって施設入居要介護者にない項目は、施設入居者という性格上、あえてケアプランに記載しなくても良い項目です。

過去の記事より

介護保険のことば(25)介護支援専門員


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2015年9月26日 (土)

介護保険のことば(25)介護支援専門員

介護保険の用語などの簡単な説明、今日は「介護支援専門員」についてです。

「介護支援専門員」については、「介護保険法」第7条第5項で、次のように規定しています。

第7条

5 この法律において「介護支援専門員」とは、要介護者又は要支援者(以下「要介護者等」という。)からの相談に応じ、及び要介護者等がその心身の状況等に応じ適切な居宅サービス、地域密着型サービス、施設サービス、介護予防サービス若しくは地域密着型介護予防サービス又は特定介護予防・日常生活支援総合事業(第115条の45第1項第1号イに規定する第一号訪問事業、同号ロに規定する第一号通所事業又は同号ハに規定する第一号生活支援事業をいう。以下同じ。)を利用できるよう市町村、居宅サービス事業を行う者、地域密着型サービス事業を行う者、介護保険施設、介護予防サービス事業を行う者、地域密着型介護予防サービス事業を行う者、特定介護予防・日常生活支援総合事業を行う者等との連絡調整等を行う者であって、要介護者等が自立した日常生活を営むのに必要な援助に関する専門的知識及び技術を有するものとして第69条の7第1項の介護支援専門員証の交付を受けたものをいう。

ケアマネジャーに関する規定です。

今回も長い条文なので整理してみます。

「要介護者又は要支援者」という部分は、「以下『要介護者等』という。」となっているので「要介護者等」に置き換えます。
「特定介護予防・日常生活支援総合事業」の後のカッコ書きの部分は「特定介護予防・日常生活支援総合事業」の説明のようですが、今回はそこまで突っ込む必要はないと思われるので省きます。

さらに、「居宅サービス、地域密着型サービス、施設サービス、介護予防サービス若しくは地域密着型介護予防サービス又は特定介護予防・日常生活支援総合事業」はサービスを羅列しているだけなので「居宅サービス等」とまとめ、「居宅サービス事業を行う者、地域密着型サービス事業を行う者、介護保険施設、介護予防サービス事業を行う者、地域密着型介護予防サービス事業を行う者、特定介護予防・日常生活支援総合事業を行う者等」もサービス事業を行う者の羅列なので「居宅サービス事業等を行う者など」とまとめます。

すると…

この法律において「介護支援専門員」とは、要介護者等からの相談に応じ、及び要介護者等がその心身の状況等に応じ適切な居宅サービス等を利用できるよう市町村、居宅サービス事業等行う者などとの連絡調整等を行う者であって、要介護者等が自立した日常生活を営むのに必要な援助に関する専門的知識及び技術を有するものとして第69条の7第1項の介護支援専門員証の交付を受けたものをいう。

となりました。

この文章をザックリとまとめると…

「介護支援専門員」とは、

要介護者等からの相談に応じ、その人の心身の状況等を見極め
適切な居宅サービス等を利用できるよう
市町村や居宅サービス事業等を行う者などとの連絡調整等を行う
有資格者

という感じになるかと…

もう少し細かくみていきましょう。

最初の「要介護者等からの相談に応じ、その人の心身の状況等を見極め」は、「要介護者又は要支援者(以下「要介護者等」という。)からの相談に応じ、及び要介護者等がその心身の状況等に応じ」のことですが、特に問題ないかと思います。
要介護者又は要支援者の相談に真摯に対応し、その人が客観的に見てどのような状況にあるかを判断するということです。

次の「適切な居宅サービス等を利用できるよう」は、「適切な居宅サービス、地域密着型サービス、施設サービス、介護予防サービス若しくは地域密着型介護予防サービス又は特定介護予防・日常生活支援総合事業(第115条の45第1項第1号イに規定する第一号訪問事業、同号ロに規定する第一号通所事業又は同号ハに規定する第一号生活支援事業をいう。以下同じ。)を利用できるよう」のことですが、これも特に問題ないかと思います。
介護保険の対象になる多くのサービスの中から、その人にあった適切なサービスを選択するということです。

その次の「市町村や居宅サービス事業等を行う者などとの連絡調整等を行う」は、「市町村、居宅サービス事業を行う者、地域密着型サービス事業を行う者、介護保険施設、介護予防サービス事業を行う者、地域密着型介護予防サービス事業を行う者、特定介護予防・日常生活支援総合事業を行う者等との連絡調整等を行う者であって」のことです。
最初に「市町村」と出てきますが、介護保険制度は市町村によって運営されています。
ですから、ここの意味は、「介護保険制度を運営する側と介護サービスを提供する側の間に入って連絡調整を行う」としても良いかもしれません。

最後の「有資格者」は「要介護者等が自立した日常生活を営むのに必要な援助に関する専門的知識及び技術を有するものとして第69条の7第1項の介護支援専門員証の交付を受けたものをいう。」のことです。
介護支援専門員の仕事は誰にでもできるわけではなく、所定の資格を持った人にしか出来ません。
詳細は改めて別の機会にさせていただきます。

過去の記事より

介護保険のことば(24)居宅介護支援


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2015年9月25日 (金)

介護保険のことば(24)居宅介護支援

介護保険の用語などの簡単な説明、今日は「居宅介護支援」についてです。

「居宅介護支援」については、「介護保険法」第8条第23項で、次のように規定しています。

第8条

23 この法律において「居宅介護支援」とは、居宅要介護者が第41条第1項に規定する指定居宅サービス又は特例居宅介護サービス費に係る居宅サービス若しくはこれに相当するサービス、第42条の2第1項に規定する指定地域密着型サービス又は特例地域密着型介護サービス費に係る地域密着型サービス若しくはこれに相当するサービス及びその他の居宅において日常生活を営むために必要な保健医療サービス又は福祉サービス(以下この項において「指定居宅サービス等」という。)の適切な利用等をすることができるよう、当該居宅要介護者の依頼を受けて、その心身の状況、その置かれている環境、当該居宅要介護者及びその家族の希望等を勘案し、利用する指定居宅サービス等の種類及び内容、これを担当する者その他厚生労働省令で定める事項を定めた計画(以下この項、第115条の45第2項第3号及び別表において「居宅サービス計画」という。)を作成するとともに、当該居宅サービス計画に基づく指定居宅サービス等の提供が確保されるよう、第41条第1項に規定する指定居宅サービス事業者、第42条の2第1項に規定する指定地域密着型サービス事業者その他の者との連絡調整その他の便宜の提供を行い、並びに当該居宅要介護者が地域密着型介護老人福祉施設又は介護保険施設への入所を要する場合にあっては、地域密着型介護老人福祉施設又は介護保険施設への紹介その他の便宜の提供を行うことをいい、「居宅介護支援事業」とは、居宅介護支援を行う事業をいう。

居宅要介護者に対するケアマネジメントに関する規定です。

随分、長い条文なので少し整理して見ます。

「居宅要介護者が第41条第1項に規定する指定居宅サービス又は特例居宅介護サービス費に係る居宅サービス若しくはこれに相当するサービス、第42条の2第1項に規定する指定地域密着型サービス又は特例地域密着型介護サービス費に係る地域密着型サービス若しくはこれに相当するサービス及びその他の居宅において日常生活を営むために必要な保健医療サービス又は福祉サービス」という部分は、「以下この項において『指定居宅サービス等』という。」となっているので「指定居宅サービス等」に置き換え、「利用する指定居宅サービス等の種類及び内容、これを担当する者その他厚生労働省令で定める事項を定めた計画」という部分は、「以下この項、第115条の45第2項第3号及び別表において『居宅サービス計画』という。」となっているので「居宅サービス計画」に置き換えます。

なお、「居宅サービス計画」に置き換える部分の中に、「その他厚生労働省令で定める事項を定めた計画」とありますので、後ほど確認することにしましょう。

置き換えてみると次のようになります。

この法律において「居宅介護支援」とは、指定居宅サービス等の適切な利用等をすることができるよう、当該居宅要介護者の依頼を受けて、その心身の状況、その置かれている環境、当該居宅要介護者及びその家族の希望等を勘案し、居宅サービス計画を作成するとともに、当該居宅サービス計画に基づく指定居宅サービス等の提供が確保されるよう、第41条第1項に規定する指定居宅サービス事業者、第42条の2第1項に規定する指定地域密着型サービス事業者その他の者との連絡調整その他の便宜の提供を行い、並びに当該居宅要介護者が地域密着型介護老人福祉施設又は介護保険施設への入所を要する場合にあっては、地域密着型介護老人福祉施設又は介護保険施設への紹介その他の便宜の提供を行うことをいい、「居宅介護支援事業」とは、居宅介護支援を行う事業をいう。

多少はスッキリしましたが、まだ長いと思います。

そこで、「第41条第1項に規定する指定居宅サービス事業者、第42条の2第1項に規定する指定地域密着型サービス事業者その他の者」という部分を「指定居宅サービス事業者等」と置き換え、「地域密着型介護老人福祉施設又は介護保険施設」という部分を「介護保険施設等」と置き換えてみます。

すると…

この法律において「居宅介護支援」とは、指定居宅サービス等の適切な利用等をすることができるよう、当該居宅要介護者の依頼を受けて、その心身の状況、その置かれている環境、当該居宅要介護者及びその家族の希望等を勘案し、居宅サービス計画を作成するとともに、当該居宅サービス計画に基づく指定居宅サービス等の提供が確保されるよう、指定居宅サービス事業者等との連絡調整その他の便宜の提供を行い、並びに当該居宅要介護者が介護保険施設等への入所を要する場合にあっては、介護保険施設等への紹介その他の便宜の提供を行うことをいい、「居宅介護支援事業」とは、居宅介護支援を行う事業をいう。

となりました。

この文章をザックリとまとめると…

「居宅介護支援」とは、

指定居宅サービス等が適切に利用できるよう
居宅要介護者の依頼を受けて
居宅サービス計画を作成するとともに、
居宅サービス計画が計画通りに行くよう、居宅サービス事業者等との連絡調整等を行い、
居宅要介護者が介護保険施設等への入所を要する場合にあっては、介護保険施設等への紹介等を行うこと

という感じになるかと…

もう少し細かく見ていきましょう。

最初の「指定居宅サービス等が適切に利用できるよう」ですが、「居宅サービス」に「指定」という言葉がついています。

この「指定」という言葉の意味の詳細は、改めて別の機会に説明させていただきますので、今回は次のような解釈をしておきたいと思います。

介護保険に関連するサービスは公的なものなので、誰でも提供することが出来るわけでなく、しかるべきところからサービスを提供するための「指定」を受けなければならない。

したがって「指定居宅サービス等」とは、しかるべきところからサービスを提供するための「指定」を受けたサービス等ということになり、それを適切に利用できるようにする、というのが この部分の内容です。

次の「居宅要介護者の依頼を受けて」は、特に問題ないかと思います。

次の「居宅サービス計画を作成するとともに」ですが、いわゆる「ケアプラン」について規定しています。
「ケアプラン」を作るに当たっては「その心身の状況、その置かれている環境、当該居宅要介護者及びその家族の希望等を勘案」しなければなりません。

要するに、居宅要介護者の心身の状況、置かれている環境を見極めて、居宅要介護者及びその家族の希望等を聞いた上で、計画を作成しなければいけない…
決して一方的に押し付けるようなものであってはならない、ということです。

「ケアプラン」の内容は、先ほど置き換えた部分です。
「利用する指定居宅サービス等の種類及び内容、これを担当する者その他厚生労働省令で定める事項を定めた計画」となっていて、「その他厚生労働省令で定める事項を定めた計画」とありますので、該当の厚生労働省令を確認します。

この厚生労働省令は、「介護保険法施行規則」第18条のことで、次のように規定しています。

(法第8条第23項の厚生労働省令で定める事項)
第18条 法第8条第23項の厚生労働省令で定める事項は、当該居宅要介護者及びその家族の生活に対する意向、当該居宅要介護者の総合的な援助の方針並びに健康上及び生活上の問題点及び解決すべき課題、提供される指定居宅サービス等(同項 に規定する指定居宅サービス等をいう。以下この条において同じ。)の目標及びその達成時期、指定居宅サービス等が提供される日時、指定居宅サービス等を提供する上での留意事項並びに指定居宅サービス等の提供を受けるために居宅要介護者が負担しなければならない費用の額とする。

条文にあった内容と省令の内容を整理し、ケアプランの内容をまとめると…

利用するサービス等の種類、内容、担当者
居宅要介護者とその家族の生活に対する意向
援助の方針、健康上・生活上の問題点、解決すべき課題
目標及びその達成時期
日常生活を営むために必要な保健医療サービス・福祉サービス
サービス等が提供される日時
サービス等を提供する上での留意事項
サービス等の費用の額

となります。

次の「居宅サービス計画が計画通りに行くよう、居宅サービス事業者等との連絡調整等を行い」と「居宅要介護者が介護保険施設等への入所を要する場合にあっては、介護保険施設等への紹介等を行うこと」は、書いてある通り解釈して問題ないでしょう。
「ケアプラン」が計画通りに行くように、居宅要介護者と事業者の間の連絡調整等を行い、介護保険施設等に入らなければならない時は、介護保険施設等の紹介を行うということです。

最後に「居宅介護支援」を行う事業のことを「居宅介護支援事業」と呼ぶと規定しています。

過去の記事より

介護保険のことば(23)複合型サービス


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2015年9月16日 (水)

介護保険のことば(23)複合型サービス

介護保険の用語などの簡単な説明、今日は「複合型サービス」についてです。

「複合型サービス」については、「介護保険法」第8条第22項で、次のように規定しています。

第8条

22 この法律において「複合型サービス」とは、居宅要介護者について、訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、通所介護、通所リハビリテーション、短期入所生活介護、短期入所療養介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護、認知症対応型通所介護又は小規模多機能型居宅介護を二種類以上組み合わせることにより提供されるサービスのうち、訪問看護及び小規模多機能型居宅介護の組合せその他の居宅要介護者について一体的に提供されることが特に効果的かつ効率的なサービスの組合せにより提供されるサービスとして厚生労働省令で定めるものをいう。

この規定、「居宅サービス」や「地域密着型サービス」に属するサービスが羅列されていて、そのあとに云々と…

「複合型サービス」だから、ここに羅列してあるサービスを複数選択して受けるサービスのことでしょう!

本当に そんな規定なのでしょうか?
もう少し細かく見ていきましょう。

条文の前半では、「居宅サービス」と「地域密着型サービス」に属するサービスを羅列しています。
しかし、このように単語を羅列すると、文章として とてもわかりづらいものになると思うのですが…
むしろ、「『居宅サービス』又は『地域密着型サービス』の中から二種類以上組み合わせることにより」とした方が わかりやすいはずです。

あえて このような わかりづらい表現をしているのは、「居宅サービス」や「地域密着型サービス」に属するサービスの全てが対象ではなく、除かれているものがある ということが考えられます。

そこで確認してみると
居宅サービス」からは「特定施設入居者生活介護」「福祉用具貸与」「特定福祉用具販売」が除かれています。
地域密着型サービス」からは「認知症対応型共同生活介護」「地域密着型特定施設入居者生活介護」「地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護」が除かれています。

除かれているサービスの特徴は

  • 普段の生活の場所が自宅ではなく、何らかの施設になっているもの(居宅要介護者を除いた要介護者が対象のもの)
  • 介護という行為を提供するのではなく、要介護者の生活に必要な物品の貸与・販売をするもの
です。

つまり「複合型サービス」とは、「居宅要介護者」に介護という行為を提供するサービスが対象、ということが この条文の前半のまとめになります。

それでは条文の後半です。

「二種類以上組み合わせることにより提供されるサービスのうち、訪問看護及び小規模多機能型居宅介護の組合せその他の居宅要介護者について一体的に提供されることが特に効果的かつ効率的なサービスの組合せにより提供されるサービスとして厚生労働省令で定めるものをいう。」

つまり、前半でまとめたサービスを二種類以上組み合わせて提供するサービスの中から、「訪問看護」と「小規模多機能型居宅介護」を組み合わせたものと、厚生労働省令で定めた組合せのサービスが「複合型サービス」ということになります。

では、その厚生労働省令が どうなっているか確認しましょう。

この厚生労働省令は、「介護保険法施行規則」第17条の12のことで、次のように規定しています。

(法第8条第22項の厚生労働省令で定めるサービス)
第17条の12 法第8条第22項の厚生労働省令で定めるサービスは、訪問看護及び小規模多機能型居宅介護の組合せにより提供されるサービス(以下「看護小規模多機能型居宅介護」という。)とする。

何のことはありません。
元の条文の繰り返しです。
訪問看護」と「小規模多機能型居宅介護」が厚生労働省令で定める組合せであり、さらにこれに「看護小規模多機能型居宅介護」という呼び方までつけています。
将来は、「複合型サービス」に別の組合せを指定するつもりなんでしょうね。

さて、以上の内容をまとめると…

「複合型サービス」とは

「居宅要介護者」に介護という行為を提供するサービスのうち

訪問看護」と「小規模多機能型居宅介護」を組み合わせたもの

となります。

過去の記事より

介護保険のことば(22)地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護


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2015年9月14日 (月)

介護保険のことば(22)地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護

介護保険の用語などの簡単な説明、今日は「地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護」についてです。

「地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護」については、「介護保険法」第8条第21項で、次のように規定しています。

第8条

21 この法律において「地域密着型介護老人福祉施設」とは、老人福祉法第20条の5に規定する特別養護老人ホーム(入所定員が29人以下であるものに限る。以下この項において同じ。)であって、当該特別養護老人ホームに入所する要介護者(厚生労働省令で定める要介護状態区分に該当する状態である者その他居宅において日常生活を営むことが困難な者として厚生労働省令で定めるものに限る。以下この項及び第26項において同じ。)に対し、地域密着型施設サービス計画(地域密着型介護老人福祉施設に入所している要介護者について、当該施設が提供するサービスの内容、これを担当する者その他厚生労働省令で定める事項を定めた計画をいう。以下この項において同じ。)に基づいて、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話を行うことを目的とする施設をいい、「地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護」とは、地域密着型介護老人福祉施設に入所する要介護者に対し、地域密着型施設サービス計画に基づいて行われる入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話をいう。

今回の規定の「地域密着型介護老人福祉施設」は、条文を見ていただけると分かると思いますが、「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」の地域密着版です。

このブログでは、まだ「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」について説明をしていません。
法律の順序が そうなっているからです。

法律の順序に従わずに、「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」の説明を先にしようかとも考えましたが、内容が基本的に同じことと、「地域密着型介護老人福祉施設」で出てくる厚生労働省令への委任事項が、「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」になく大切な事項でしたので、法律の順序どおり、「地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護」の説明を先に させていただきます。

この規定では、前半に「地域密着型介護老人福祉施設」の定義を 後半に「地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護」の定義をしています。

まず「地域密着型介護老人福祉施設」について確認します。

条文の内容を要約すると…

特別養護老人ホームに入所する要介護者に、地域密着型施設サービス計画に基づいて、日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話を行うことを目的とする施設

となります。

では、特別養護老人ホームとは…

老人福祉法第20条の5に規定する特別養護老人ホームなのですが、「地域密着型介護老人福祉施設」の対象となる特別養護老人ホームには条件がついています。

「入所定員が29人以下」

という条件です。

次は、入所する要介護者について

「介護保険法」で、「地域密着型介護老人福祉施設」や「介護老人福祉施設」の対象となる特別養護老人ホームの入居者には、次の条件がついています。

  1. 厚生労働省令で定める要介護状態区分に該当する状態である者
  2. その他居宅において日常生活を営むことが困難な者として厚生労働省令で定めるもの

それぞれに、厚生労働省令と ありますので確認してみます。

まず1から…

この厚生労働省令は、「介護保険法施行規則」第17条の9のことで、次のように規定しています。

(法第8条第21項の厚生労働省令で定める要介護状態区分)
第17条の9 法第8条第21項の厚生労働省令で定める要介護状態区分は、要介護認定等に係る介護認定審査会による審査及び判定の基準等に関する省令 (平成十一年厚生省令第58号。以下「認定省令」という。)第1条第1項第3号から第5号までに掲げる要介護状態区分とする。

ゴチャゴチャ書いてありますが、要介護3から5のことです。

次は2です。

この厚生労働省令は、「介護保険法施行規則」第17条の10のことで、次のように規定しています。

(法第8条第21項の居宅において日常生活を営むことが困難な者として厚生労働省令で定めるもの)
第17条の10 法第8条第21項の居宅において日常生活を営むことが困難な者として厚生労働省令で定めるものは、認定省令第1条第1項第1号又は第2号に掲げる要介護状態区分に該当する者であって、その心身の状況、その置かれている環境その他の事情に照らして、居宅において日常生活を営むことが困難なことについてやむを得ない事由があると認められるものをいう。

こちらもゴチャゴチャと書いてありますが、要介護1から2で自宅で生活することが困難な人のことです。

要するに、この規定が今年度から始まった「特別養護老人ホームの重点化」に関する規定なのです。

それでは次にいきましょう。

地域密着型施設サービス計画についてです。
後に続く文章とあわせて、「計画に基づいた日常生活上の世話等をします。」ということです。

ただ詳細がカッコ書きになっていて、その中に「その他厚生労働省令で定める事項を定めた計画」とありますので、一応確認します。

この厚生労働省令は、「介護保険法施行規則」第17条の11のことで、次のように規定しています。

(法第8条第21項の厚生労働省令で定める事項)
第17条の11 法第8条第21項の厚生労働省令で定める事項は、当該要介護者及びその家族の生活に対する意向、当該要介護者の総合的な援助の方針、健康上及び生活上の問題点及び解決すべき課題、提供するサービスの目標及びその達成時期並びにサービスを提供する上での留意事項とする。

ところで、「その他厚生労働省令で定める事項を定めた計画」という表現、「介護保険のことば」で過去に2度出てきているのですが、憶えていらっしゃいますか?
特定施設入居者生活介護」と「地域密着型特定施設入居者生活介護」で出てきました。

この省令、大部分が過去に出てきたものと同じなのですが、少しだけ違うところがあります。
今回は、「特定施設入居者生活介護」に出てきた「介護保険法施行規則」第16条や、「地域密着型特定施設入居者生活介護」に出てきた「介護保険法施行規則」第17条の7になかった、「その家族の生活に対する意向、当該要介護者の総合的な援助の方針」という部分が出てきます。

「地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護」では、介護サービス計画の作成に当たって、「家族の生活に対する意向、要介護者の総合的な援助の方針」が考慮されるということです。

以上で、前半の「地域密着型介護老人福祉施設」の定義に関する部分の整理は大体出来ました。

整理した内容をまとめると…

「地域密着型介護老人福祉施設」とは、

入所定員29人以下の特別養護老人ホームで
所定の条件に合った要介護者に
計画に基づいた日常生活上の世話等をする施設

ということになります。

そして、後半の「地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護」とは、「地域密着型介護老人福祉施設」で提供される「介護」ということになります。

過去の記事より

介護保険のことば(21)地域密着型特定施設入居者生活介護


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2015年9月12日 (土)

介護保険のことば(21)地域密着型特定施設入居者生活介護

介護保険の用語などの簡単な説明、今日は「地域密着型特定施設入居者生活介護」についてです。

「地域密着型特定施設入居者生活介護」については、「介護保険法」第8条第20項で、次のように規定しています。

第8条

20 この法律において「地域密着型特定施設入居者生活介護」とは、有料老人ホームその他第11項の厚生労働省令で定める施設であって、その入居者が要介護者、その配偶者その他厚生労働省令で定める者に限られるもの(以下「介護専用型特定施設」という。)のうち、その入居定員が29人以下であるもの(以下この項において「地域密着型特定施設」という。)に入居している要介護者について、当該地域密着型特定施設が提供するサービスの内容、これを担当する者その他厚生労働省令で定める事項を定めた計画に基づき行われる入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話であって厚生労働省令で定めるもの、機能訓練及び療養上の世話をいう。

今回の規定、「特定施設入居者生活介護」の地域密着版です。
したがって、利用者に提供されるサービスの内容は、介護保険法上、「特定施設入居者生活介護」と同じです。
特定施設入居者生活介護」との違いは、「施設に入居できる人が限定されること」と「施設の規模」です。

その辺りを中心に見ていきましょう。

最初に、対象の施設について規定している部分です。
「有料老人ホームその他第11項の厚生労働省令で定める施設」とありますが、「第11項」とは、「特定施設入居者生活介護」に関する規定です。
その規定の「厚生労働省令で定める施設」とは、有料老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホームの3つでした。

「地域密着型特定施設入居者生活介護」では、まず、 この3つの施設のうち「入居者が要介護者、その配偶者その他厚生労働省令で定める者に限られるもの」が、対象の施設となります。
ここで「特定施設入居者生活介護」との違いの、「施設に入居できる人が限定されること」が出てきました。

施設に入居できる人の条件に、「要介護者、その配偶者その他厚生労働省令で定める者」とありますので確認しましょう。

この厚生労働省令は、「介護保険法施行規則」第17条の6のことで、次のように規定しています。

(法第8条第20項の厚生労働省令で定める者)
第17条の6 法第8条第20項の厚生労働省令で定める者は、次のとおりとする。

  1. 入居の際要介護者であったものであって、現に要介護者でないもの
  2. 入居者である要介護者(前号に該当する者を含む。次号において同じ。)の三親等以内の親族
  3. 前2号に掲げるもののほか、特別の事情により入居者である要介護者と同居させることが必要であると当該施設の所在地を管轄する都道府県知事(地域密着型特定施設(法第8条第20項に規定する地域密着型特定施設をいう。以下この項及び第17条の8において同じ。)の場合には、当該地域密着型特定施設の所在地を管轄する市町村長(特別区にあっては、区長。第98条第8号を除き、以下同じ。)(当該地域密着型特定施設の所在地以外の市町村(以下この号において「他の市町村」という。)が行う介護保険の被保険者が入居者の場合には当該他の市町村の長))が認める者

ここでは、3つのタイプの条件を規定しています。

  1. 入居者本人(入居時に要介護状態であれば、入居後に要介護状態が解消されても引き続き入居可能)
  2. 入居者である要介護者の三親等以内の親族(親、子、祖父母、孫、きょうだい等)

以上、2つは特に問題ないと思います。
問題は3つ目…
長い文章ですし、文章中にはカッコ書きが たくさんあって、非常に読みづらい…
でも、頑張って読んでみました。
結局、入居者である要介護者と同居させることが必要だと、その施設を管轄する行政の長に認められた人が入居できるようです。
したがって3つ目は…

  1. 入居者である要介護者と同居させることが必要だと認められた人

ということになります。

この3つのタイプの人に、元の条文で規定している配偶者を加えて、施設に入居できる人は、

  1. 入居者本人(入居時に要介護状態であれば、入居後に要介護状態が解消されても引き続き入居可能)
  2. 入居者本人の配偶者
  3. 入居者である要介護者の三親等以内の親族
  4. 入居者である要介護者と同居させることが必要だと認められた人

となります。

なお「介護保険法」では、入居者に このような条件をつけている「特定施設」を「介護専用型特定施設」と呼んでいます。

それでは、次に いきましょう。

次は、「特定施設入居者生活介護」との違いの「施設の規模」に関する部分です。

「介護専用型特定施設」について書いてあるすぐあとに、「その入居定員が29人以下であるもの」とあります。
つまり、「地域密着型特定施設入居者生活介護」が行われるのは、「入居定員が29人以下」の「介護専用型特定施設」ということになります。
そして、この施設のことを「介護保険法」では「地域密着型特定施設」と呼びます。

それでは次…

条文の後半、「当該地域密着型特定施設が提供するサービスの内容、これを担当する者その他厚生労働省令で定める事項を定めた計画に基づき行われる入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話であって厚生労働省令で定めるもの、機能訓練及び療養上の世話をいう。」は、「特定施設入居者生活介護」に関して規定している、「介護保険法」第8条第11項と基本的に同じです。

違うところといえば、「介護保険法」第8条第20項で「当該地域密着型特定施設が提供するサービスの内容」となっている部分が、「介護保険法」第8条第11項では「当該特定施設が提供するサービスの内容」となっているだけ…
それぞれの条文が規定している内容からすれば、当然の違いですよね。
したがいまして、後半部分の説明は、「特定施設入居者生活介護」の説明をご覧いただきたいと思います。

なお、「介護保険法」第8条第20項の後半には、「その他厚生労働省令で定める事項を定めた計画」と、「その他の日常生活上の世話であって厚生労働省令で定めるもの」の2箇所で、厚生労働省令に委任している部分があります。
参考までに、該当する規定を掲載しておきますので、ご興味のある方はご覧下さい。

(法第8条第20項の厚生労働省令で定める事項)
第17条の7 法第8条第20項の厚生労働省令で定める事項は、当該要介護者の健康上及び生活上の問題点及び解決すべき課題、提供するサービスの目標及びその達成時期並びにサービスを提供する上での留意事項とする。


(法第8条第20項の厚生労働省令で定める日常生活上の世話)
第17条の8 法第8条第20項の厚生労働省令で定める日常生活上の世話は、入浴、排せつ、食事等の介護、洗濯、掃除等の家事、生活等に関する相談及び助言その他の地域密着型特定施設に入居している要介護者に必要な日常生活上の世話とする。


今回説明した「地域密着型特定施設入居者生活介護」が、「介護保険法」第8条第20項、前回説明した「小規模多機能型居宅介護」が、「「介護保険法」第8条第18項」、条文が一つ飛んでいます。
実は「「介護保険法」第8条第19項」で「認知症対応型共同生活介護」、いわゆる(認知症高齢者)グループホームについて規定しているのですが、条文が短く、複雑な表現もありませんでした。
条文を読んでいただければ理解できると思いますので、条文のみの掲載とさせていただきます。

「認知症対応型共同生活介護」については、「介護保険法」第8条第19項で、次のように規定しています。

第8条

19 この法律において「認知症対応型共同生活介護」とは、要介護者であって認知症であるもの(その者の認知症の原因となる疾患が急性の状態にある者を除く。)について、その共同生活を営むべき住居において、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話及び機能訓練を行うことをいう。


過去の記事より

介護保険のことば(20)小規模多機能型居宅介護


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2015年9月10日 (木)

介護保険のことば(20)小規模多機能型居宅介護

介護保険の用語などの簡単な説明、今日は「小規模多機能型居宅介護」についてです。

「小規模多機能型居宅介護」については、「介護保険法」第8条第18項で、次のように規定しています。

第8条

18 この法律において「小規模多機能型居宅介護」とは、居宅要介護者について、その者の心身の状況、その置かれている環境等に応じて、その者の選択に基づき、その者の居宅において、又は厚生労働省令で定めるサービスの拠点に通わせ、若しくは短期間宿泊させ、当該拠点において、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話であって厚生労働省令で定めるもの及び機能訓練を行うことをいう。

この条文を簡単にまとめてみると

「小規模多機能型居宅介護」とは

居宅要介護者が
本人の選択に基づき
自宅等か
所定のサービスの拠点に
通ったり
短期間宿泊したりして
日常生活上の世話を受けたり、機能訓練を行うこと

となります。

つまり「居宅要介護者」本人の選択で、「訪問介護」や「通所介護」や「短期入所生活介護」をすることになります。

もう少し細かく見ていきましょう。

まず「居宅要介護者」は、特に問題はないでしょう。

次の「その者の心身の状況、その置かれている環境等に応じて、その者の選択に基づき」も、書かれている通り解釈して差し支えないと考えます。
「対象の居宅要介護者が、自分の置かれている色々な状況に応じて、本人の選択に基づき」という感じですかね…

「その者の居宅において」も、特に問題はないですね。

次に「厚生労働省令で定めるサービスの拠点」とありますので確認しましょう。

この厚生労働省令は、「介護保険法施行規則」第17条の4のことで、次のように規定しています。

(法第8条第18項の厚生労働省令で定めるサービスの拠点)
第17条の4 法第8条第18項の厚生労働省令で定めるサービスの拠点は、機能訓練及び次条に規定する日常生活上の世話を適切に行うことができるサービスの拠点とする。

何のことは ありません。
「必要なサービスを適切に提供できるところ」が、厚生労働省令で定めるサービスの拠点ということです。
規定の中ほどに「次条に規定する日常生活上の世話」とありますが、このあと出てきますのでしばしお待ちを…

次に行きましょう。
少しダブりますが、「サービスの拠点に通わせ、若しくは短期間宿泊させ」は、「サービスの拠点に通所介護、もしくは短期入所生活介護をさせ」となります。

最後に「介護」の内容に係わる部分、「入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話であって厚生労働省令で定めるもの及び機能訓練を行うこと」です。

「その他の日常生活上の世話であって厚生労働省令で定めるもの」とありますので確認しましょう。

この厚生労働省令は、「介護保険法施行規則」第17条の5のことで、次のように規定しています。

(法第8条第18項の厚生労働省令で定める日常生活上の世話)
第17条の5 法第8条第18項の厚生労働省令で定める日常生活上の世話は、入浴、排せつ、食事等の介護、調理、洗濯、掃除等の家事、生活等に関する相談及び助言、健康状態の確認その他の居宅要介護者に必要な日常生活上の世話とする。

この規定ですが、「訪問介護」に出てきた「介護保険法施行規則」第5条と、「通所介護」に出てきた「介護保険法施行規則」第10条の内容を網羅するものとなっています。
「小規模多機能型居宅介護」が、「訪問介護」、「通所介護」、「短期入所生活介護」の機能を持つ以上、当然といえば当然の内容といえます。

過去の記事より

介護保険のことば(19)認知症対応型通所介護


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2015年9月 8日 (火)

介護保険のことば(19)認知症対応型通所介護

介護保険の用語などの簡単な説明、今日は「認知症対応型通所介護」についてです。
通所介護ということですから、いわゆるデイサービスなのですが、利用者が認知症の人に限定されます。

「認知症対応型通所介護」については、「介護保険法」第8条第17項で、次のように規定しています。

第8条

17 この法律において「認知症対応型通所介護」とは、居宅要介護者であって、認知症であるものについて、老人福祉法第5条の2第3項の厚生労働省令で定める施設又は同法第20条の2の2に規定する老人デイサービスセンターに通わせ、当該施設において入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話であって厚生労働省令で定めるもの及び機能訓練を行うことをいう。

今回の規定は、基本的に「通所介護」と同じ内容になっています。
違うところは冒頭にも書きましたが、利用者が認知症の人に限定されていることです。
条文の表現では、
通所介護」について定めている「介護保険法」第8条第7項では、「居宅要介護者について」となっているのに対して、
今回の「介護保険法」第8条第17項では、「居宅要介護者であって、認知症であるものについて」となっています。

そのほかに「介護保険法」第8条第7項では、「認知症対応型通所介護に該当するものを除く」という表現を使って、「通所介護」から「認知症対応型通所介護」を除外しています。
当然といえば、当然ですよね。
そのために、「介護保険法」第8条第17項が あるわけですから…

ということで「認知症対応型通所介護」の説明は、「認知症対応型通所介護」が認知症の人限定の通所介護であることを踏まえた上で、「通所介護」を参照していただきたいと思います。

ただ条文の後半に、「その他の日常生活上の世話であって厚生労働省令で定めるもの」とありますので、一応、該当の規定を掲載させていただきます。
内容は、「通所介護」で出てきた「介護保険法施行規則」第10条と同じです。

「介護保険法施行規則」
(法第8条第17項の厚生労働省令で定める日常生活上の世話)
第17条の3 法第8条第17項の厚生労働省令で定める日常生活上の世話は、入浴、排せつ、食事等の介護、生活等に関する相談及び助言、健康状態の確認その他の居宅要介護者に必要な日常生活上の世話とする。

最後に、この条文を私なりに整理すると…

「認知症対応型通所介護」とは、

認知症の居宅要介護者が
デイサービスセンターなどの施設に通い
入浴・排泄・食事などの世話を受けたり機能訓練を行うこと

となります。

過去の記事より

介護保険のことば(18)夜間対応型訪問介護


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